Oracle19cと23cの初期化パラメータの差分について調べてみた～その2～

前回の続きで、Oracle Database19cと23cの初期化パラメータを比較して、23cで登場したパラメータを纏めてみた。

※19cと比較しての新規であるため、20cから新規登場したパラメータも、23cで登場したものとして記載する。パラメータ数が多いため、PCでの閲覧推奨。

5.新規パラメータ

19cには存在せず23cに存在したパラメータは87個存在した。パラメータ概要が「★」から始まるパラメータは、23cのマニュアルに記載されていないため、V$PARAMETERのdescription列を和訳したものを記載した。

パラメータ	デフォルト値	パラメータ概要
allow_legacy_reco_protocol	TRUE	RECOプロセスにレガシー・リカバリ・プロトコルを使用させるか
allow_weak_crypto	TRUE	★DBMS_CRYPTO で弱い暗号の使用を許可するか
auto_start_pdb_services	FALSE	★全てのPDBサービスを自動起動するかを制御
blockchain_table_max_no_drop		ブロックチェーン表の作成時に指定可能な最大アイドル時間(日)
blockchain_table_retention_threshold	16	TABLE RETENTIONシステム権限を持たないデータベース・ユーザーがブロックチェーン表または不変表を作成または変更するときに指定できる最大アイドル時間(日)
client_prefetch_rows	0	★クライアントプリフェッチの行数
container_data	ALL	>PDB内から拡張データリンクオブジェクトへの問合せでルートとPDBの両方から行を返すか、PDBのみから行を返すかを制御
db_flashback_log_dest	NONE	フラッシュバック・データベース・ログ記憶域の場所
db_flashback_log_dest_size	0	フラッシュバック・データベース・ログ記憶域の最大サイズ(バイト単位)
dbnest_enable	NONE	dbNestの有効化/無効化
dbnest_pdb_fs_conf		PDBのdbNestファイルシステム構成ファイルを指定
default_credential	NONE	★デフォルトの認証情報セッションパラメータ
diagnostics_control	IGNORE	安全でない可能性のあるデータベース診断操作を実行するユーザーの制御および監視
drcp_connection_limit		★DRCPの接続制限
drcp_dedicated_opt	NO	DB常駐接続プーリング(DRCP)専用の最適化の有効化/無効化
enable_per_pdb_drcp	FALSE	DB常駐接続プーリング(DRCP)がCDB全体に対して1つの接続プールを構成するか、PDB毎に1つの分離接続プールを構成するかを制御
error_message_details	ON	★追加の説明的なエラー詳細の出力有無
group_by_position_enabled	FALSE	GROUP BY句内の正の整数を、選択リスト内の式の順序を示す位置として処理するか制御
heartbeat_batch_size	5	ハートビート期間中に送信されるハートビート数
hybrid_read_only	FALSE	★CDBの共通ユーザでPDBにパッチ適用を許可するhybrid read only modeを使用するか
identity_provider_config	NONE	アイデンティティ・プロバイダとして使用するAzure ADの指定
identity_provider_type	NONE	データベースの外部アイデンティティ・プロバイダを指定
ignore_session_set_param_errors		クライアントがセッションパラメータ値を変更しようとしたときにDBがエラーを無視するかを制御
inmemory_deep_vectorization	TRUE	★インメモリディープベクトル化フレームワークの有効/無効
inmemory_graph_algorithm_execution	DEFAULT	★インメモリ実行が不可能な場合のグラフ実行のフォールバックアクションの制御
iorm_limit_policy	RM_PLAN	★Exadata IORM制限の計算に使用されるポリシー
ipddb_enable	FALSE	★IPD/DB データ収集を有効にするか
json_behavior_flags	NONE	★JSON動作の制御
json_expression_check	off	JSON問合せ文チェック機能の有効化/無効化
kafka_config_file		★KSR pub/sub 外部メッセージバス(KSRPS) の環境ファイル
load_without_compile	none	★PL/SQL またはデータベースオブジェクトをコンパイルせずにロードするか
main_workload_type	OLTP	★主なワークロードの種類
mandatory_user_profile	NONE	CDBまたはPDBの必須ユーザープロファイルを指定
max_auth_servers	25	認証プール内の認証サーバーの最大数
max_columns	STANDARD	データベース表とビューで使用できる最大列数の拡張有無
max_saga_duration	86400	Sagaの最大期間(秒単位)
memoptimize_write_area_size	0	★memoptimizeの書込み領域サイズの変更
memoptimize_writes	HINT	★memoptimize_write ヒントを使用せずに IGA にデータを書込むか
memory_max_size	0	★最大メモリサイズ
memory_size	0	★メモリサイズのターゲット
min_auth_servers	1	認証プール内の認証サーバーの最小数
mle_prog_languages	all	★多言語エンジンの有効化
mle_regexp_accelerator	SQL	★MLEを使用した正規表現評価の高速化に関する設定
native_blockchain_features	NONE	★ネイティブblock chainの有効/無効化
optimizer_capture_sql_quarantine	FALSE	SQL隔離構成の自動作成を有効/無効化
optimizer_cross_shard_resiliency	FALSE	クロスシャード問合せの回復可能な実行の有効/無効化
optimizer_real_time_statistics	FALSE	従来型DML操作中にリアルタイム統計の自動収集の有効/無効化
optimizer_session_type	NORMAL	セッション内のSQL文に対してDBが自動索引作成を実行する方法の制御
optimizer_use_sql_quarantine	TRUE	オプティマイザがSQL隔離構成を考慮するかの制御
paranoid_concurrency_mode	FALSE	★厳密に永続的なクエリデータ取得の有効化
pdc_file_size	0	★PMEMダイレクトコミットファイルのサイズ(Byte)
pkcs11_library_location	NONE	★TDEで使用するPKCS#11 ライブラリの場所
plsql_implicit_conversion_bool	FALSE	★PL/SQLでbool値の暗黙的な変換実施をするか
pmem_filestore		インスタンス起動時にDBが自動的にマウントする永続メモリ(PMEM)ファイルストアを指定
read_only	FALSE	★ユーザセッションでの書込み操作を制限するか
resource_manager_cpu_scope	INSTANCE_ONLY	CPU リソース管理の範囲
result_cache_auto_blocklist	ON	★自動ブロックリストアルゴリズムを実行するか
result_cache_execution_threshold	2	PL/SQLファンクションの結果が結果キャッシュに格納されるまでに実行可能な最大回数
result_cache_integrity	TRUSTED	★結果キャッシュの決定性PL/SQL関数
result_cache_max_temp_result	5	キャッシュされる単一の問合せ結果が利用できるresult_cache_max_temp_sizeの割合
result_cache_max_temp_size	0	結果キャッシュで利用できる一時表の最大量(バイト単位)
run_addm_for_awr_report	NONE	★AWRレポート内でADDMを実行できるAWRスナップショットタイプ
saga_hist_retention	43200	★完了したSAGAの保持数のデフォルト値
session_exit_on_package_state_error	FALSE	★PL/SQLパッケージが状態破棄される際にクライアントの終了を要求するか
shard_enable_raft_follower_read	TRUE	★シャード内のフォロワレプリケーションユニットからの読取有効化
shard_queries_restricted_by_key	FALSE	クエリにシャードキーの述語を追加するかの制御
soda_behavior_flags	NONE	★SODAの振る舞い制御
sql_error_mitigation	off	★自動エラー軽減の有効化
sql_history_enabled	FALSE	★SQLクエリ履歴の有効化
sql_transpiler	OFF	★SQLトランスパイラの有効化
statement_redirect_service	NONE	★ステートメントリダイレクトサービス
sysdate_at_dbtimezone	FALSE	★sysdateとsystimestamp値を計算する際にDBタイムゾーンを使用するか
tablespace_encryption	MANUAL_ENABLE	データベースの表領域暗号化ポリシー
tablespace_encryption_default_algorithm	AES256	表領域の暗号化時にDBで使用されるデフォルトのアルゴリズム
tde_key_cache	FALSE	Oracleプロセス間でのTDEマスター暗号化キー共有の有効/無効化
time_at_dbtimezone	off	★現在時刻の計算にDBタイムゾーンを使用するか
timezone_version_upgrade_integrity	enforced	★必要な整合性を備えた制約を利用したDSTアップグレードの実行
timezone_version_upgrade_online	FALSE	DBを通常モードで実行し続けたままタイムゾーンデータをアップグレードする機能の有効/無効化
tracefile_content_classification	DEFAULT	★トレースレコードセキュリティラベルのプレフィックス出力の有効化
true_cache	FALSE	★True Cacheの有効化
txn_auto_rollback_high_priority_wait_target	2147483647	★優先度高のトランザクション待機の自動中止
txn_auto_rollback_medium_priority_wait_target	2147483647	★優先度中のトランザクション待機の自動中止
txn_auto_rollback_mode	ROLLBACK	★自動トランザクションロールバック機能のモード
txn_priority	HIGH	★セッション内のトランザクションの優先度
xml_client_side_decoding	TRUE	★XMLクライアント側デコードの有効/無効
xml_handling_of_invalid_chars	raise_error	★XML要素中の無効な文字の処理
xml_params	NONE	★XMLの動作を変更するパラメータ